ラオスは伝統的な親日国です。その背景には,日本によるラオスへの継続的な支援があります。
日本はダムや橋をはじめとする大型インフラの建設だけではなく,教育環境の整備や人材育成,保健医療サービスの改善など,様々な分野においてODAを展開してきました。
特に本年50周年を迎える青年海外協力隊が初めて派遣された国がラオスです。ラオスでは日本への謝意を込め,ODA案件をデザインした切手や紙幣が発行されています。
またハイレベルでの人物交流も盛んに行われており,皇太子殿下(12年)や秋篠宮殿下(99年,01年,10年)の他,小渕総理(00年),小泉総理(04年),野田総理(12年),安倍総理(13年)など,歴代の多くの総理がラオスを訪れています。
またラオスからも,国家主席や首相など,トップレベルの要人が訪日しています。
■日本企業の進出が急増中
政治的にも経済的にも安定しているラオスは,タイ,ベトナム,中国への資源や労働力の提供地であるだけではなく,近年では各国からの投資も増えてきています。
日本にとっても,2009年にビエンチャン日本人商工会議所が発足,2014年にJETRO事務所が開設するなど,投資しやすい環境が整えられた結果,2012年には約60社だった日本企業が,2014年には126社に増加しています(2014年7月現在)。
勤勉で手先が器用な人材が多いラオスでは,優れた労働力を確保できるという理由から,日本の大手製造業が続々とラオスへの投資を決定するほか,
日本の総合商社がラオス産コーヒー豆をベトナム企業やタイ企業と提携して日本へ輸出したり,
日本の大手製薬会社がラオス南部のサラワン県で漢方薬の原料栽培を開始するなど,様々な日本企業による進出が開始されています。
■日ラオス外交関係樹立60周年
2015年,日本とラオスは外交関係樹立60周年を迎えました。
これを記念し,ラオスからはゾウが,日本からは桜が贈られたほか,両国において様々な記念イベントが開催されています。
3月4日から7日にはトンシン・タンマヴォン首相が訪日し,日ラオス首脳会談において,日ラオス関係を「包括的パートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」へと発展させるとともに,
日本はメコン地域の中心に位置するラオスの連結性強化や域内の格差是正に向け,引き続き支援を行っていくことを表明しました。
さらに7月に行われた「第7回日・メコン地域諸国首脳会議」においても日ラオス首脳会談を実施し,「質の高いインフラパートナーシップ」を通じ,日本は今後も地域の連結性強化に貢献していくことを明言しました。
■メコン地域の安定と平和の鍵を握る国
このように,日本とラオスの間には深い信頼の絆が築かれており,60年にわたって親密な交流を重ねてきました。
ラオスは国際政治の舞台において日本を支持する立場に回ることが多く,安保理改革においても,常任理事国入りを含めて日本の立場を支持しています。
また国際捕鯨委員会(IWC)に加盟し,日本の捕鯨に関する立場支持しています。
メコン地域全ての国と国境を接し,地理的要衝に位置するラオスは,同地域の安定と平和の鍵を握るだけではなく,今後のASEAN連結性強化において,欠かすことができない存在です。
外務省、分かる!国際情勢
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol132/index.html
トイレも水道もないアジア諸国他で、公共トイレや井戸の建設、子どもたちを預かるセンター、女性を保護する支援などを続ける池間哲郎さん著「日本はなぜアジアの国々から愛されるのか」育鵬社