東レは「炭素繊維」世界シェアNo.1をどう築いたか。
より軽く、より頑丈な素材を目指して──。
炭素繊維は、東レが50年以上にわたって研究・技術開発・市場開拓を進めてきた素材だ。鉄の10倍の強さと1/4の軽さを持ち、飛行機・自動車・自転車・釣り竿に至るまで、様々な製品に使われている。
まさにゼロから市場を作り上げ、売上高2400億円規模の事業へと成長。今では翼や胴体にまで炭素繊維が採用された、通称「黒い飛行機」が空を飛ぶまでに用途が拡大し、世界シェアNo.1を誇っている。
東レはどのようにして、市場さえなかった炭素繊維を実用化し、事業化への道筋を立てることができたのか? 同社の炭素繊維技術開発の最前線を見つめてきた北野彰彦氏から「黒い飛行機」の誕生秘話、そして炭素繊維の未来を聞いた。
調査会社コンポジッツワールドの炭素繊維メーカー2019年生産量(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模(生産能力ベース)を分母にして、2019年の炭素繊維の市場シェアを計算すると、1位は東レ、2位は同率で三菱ケミカルとヘクセルとなります。
1位 東レ 35.36%
2位 三菱ケミカル 9.93%
3位 ヘクセル 9.93%
4位 帝人 8.68%
5位 SGLカーボン 8.06%
6位 フォルモサ 5.58%
7位 ソルベイ 2.73%
8位 DowAksa 1.86%
9位 Hyosung 1.24%
炭素繊維の世界最大手は、東レとなります。2位以下のメーカーの市場シェアを、2倍以上引き離しています。炭素繊維強化プラスチックを発明・開発し、先行者利益を享受しています。
2位は同率で三菱ケミカル(旧三菱レイヨン)とヘクセルです。4位にはエアバスとの関係が深く、熱可塑性CFRPに強みを見せる帝人が入っています。
BMWとの関係も深く、自動車向けの炭素繊維に強みを持ちます。5位は、ラージトウと言われる汎用型炭素繊維に強いドイツのSGLカーボンが入っています。6位は、台湾(フォルモサ)プラスチックグループとなっています。
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