日本が降伏して、GHQ(General Headquarters)、連合国軍最高司令官総司令部、つまり進駐軍が日本にやってきました。アメリカ人には、神風特攻隊などという信じがたい、異常とまで思われる精神性を持つ人種の国での占領政策の実施にはとてつもない苦労が伴うと予想されました。
ところが実際の日本人はとても従順で、その心配は単なる危惧に終わりました。それでもなんだかんだ言っても日本人は有色人種です。西洋人にとって有色人種とは、ついこの間までは貪り、絞り取り上げる対象の奴隷的な存在です。その有色人種のひとつが大国ロシアを破り、第一次世界大戦では戦勝国側にいました。
その結果、パリ国際講和会議(ベルサイユ会議)において日本は、世界で初めてとなる白人以外の有色人種としての参加を果たし、人種差別撤廃を提議しました。フランス代表・イタリア代表各2名、ギリシャ・中華民国・ポルトガル・チェコスロバキア・セルブ・クロアート・スロヴェーヌ王国(ユーゴスラビア王国)の各1名、計11名の委員が賛成し、イギリス・アメリカ・ポーランド・ブラジル・ルーマニアの計5名の委員が反対、多数決で採決されるかと思われました。
でも議長であるアメリカのウィルソン大統領が、全会一致、反対者ゼロでないと採決されないということで否決になりました。有色人種から貪り続けている西洋人にとっては都合がわるかったわけです。アメリカ人が日本人をどのように思っていたかということがよく分かるお話があります。
第二次世界大戦後、村松剛という人が交換教授でカナダに滞在していた時に、ニューヨークタイムズの切り抜き記事のコピーをお土産に、三島由紀夫氏と石原慎太郎氏に持ち帰って見せました。ひとつはドイツが降伏した時の社説です。
「我々は勝利してよかった。だが、ドイツ人とは本来友人であり、ドイツ人は優秀だから、将来を見据えて、彼らがナチスを排除するなら、我々はドイツの再建に協力していこう」 と、書いてあったそうです。
そしてもうひとつは、日本が降伏した時の社説で、その横には恐ろしく大きなナマズのような化け物がひっくり返って口を空けているところで、やっとこを手にしたGIが2,3人で牙を抜こうと格闘している漫画が載っていたそうです。
そして社説は、「この怪物は倒れたが死んだわけではない。我々はこの化け物の牙と骨を徹底的に抜き去らなければならない。この作業は戦争に勝つよりも難しいかもしれないが、アメリカは自分のためにも、世界のためにもこの作業を続けなければならない」
(村松剛さんの情報は、「勝つ日本」石原慎太郎著から)
GHQは当時、WGIP(War Guilt Information Progran)という、日本を骨抜きにするプログラムによって、日本が二度とアメリカに立ち向かわないように、教育方針も含めて様々な手を打ったため、戦後の日本人には誤った認識が植え付けられてしまいました。
アメリカの目標である、「日本が二度とアメリカに刃向かわないようにする」 は、国務省、陸軍省、海軍省合同で作成した「日本降伏後における米国の初期の対日方針」でも明らかです。日本語をアルファベットに変えようとしたり、非武 装化、弱体化、そして民主化で押さえ込みました。
それが始まったのは、早くも(真珠湾攻撃が始まったのと同じ日にちの)1945年12月8日で、戦争責任を日本の軍部と軍国主義者へ意識的に転嫁するため、つまり自分たちの行為の正否を後に問われないようにするために、「太平洋戦争史」なる宣伝文章を作成して日本の各日刊紙に連載を始めました。
1946年1月からは、各学校における歴史、地理、修身の授業を中止させ、4月からは歴史教科書としてこの「太平洋戦争史」を使わせました。
「日本国憲法原文の英文がある。占領下で憲法を強いたのは国際法違反だ。マッカーサーは僅か1週間で憲法を作った。
その作業にあたったスタッフには憲法の専門家がいなかった。国際憲章などを参考にして作文した。
日本国憲法は日本を弱体化し、二度と戦争を起こすことができない国にする降伏条約だ。
憲法の前文は日本を絶対に再びアメリカに対して戦えない国として誓約させた意図がありありだ。
スタッフの中に無学な若いユダヤ・ドイツ系の女性がいた。法律についてはまったく無知だった。
この一家は日本によってナチスの迫害から救われて日本にやって来た。両親は音楽家だった。彼女はひとりで憲法草案の、女性の権利に関する条項を書くことを任せられた。
彼女、ペアテ・シロタは日本に対する大恩をそっちのけにして、日本の生活文化を破壊して浅はかなものに置き換えたことを晩年まで得意気に自慢した。
日本ほど女性が恵まれている国はない。だから自制の平均寿命が世界のどの国よりも高い。
ベアテは占領軍に媚びて、日本の女性が男性から虐待されていると偽った。
日本国憲法は、日本人にとって「平和憲法」と呼ばれているが、前文を冷静に読んでみれば、「属国条約」であることがよく分かる。
中略
占領中にアメリカがしたことは悪だった。おぞましい復習であり、リンチであった。完璧な欺瞞とナンセンスだけがそこに残された。マッカーサーは、白人の優越を示そうと意図した」ヘンリー・スコット・ストークス。
以上は、オックスフォード大学を卒業し、イギリス軍大尉としてインドに4年間駐留した後に、日本でファイナンシャル・タイムズ、その後エコノミスト誌の東京特派員、そしてロンドン・タイムズ、ニューヨーク・タイムズの東京支局長を歴任した、ヘンリー・スコット・ストークス著「英国人記者が見た、連合国戦勝史観の虚妄」より。