なぜ日本とタイだけが植民地にならずに済んだのか?
15世紀の末から20世紀までの約500年間、世界は植民地を支配をする西洋の白人と、支配される有色人種のどちらか2つに大きく分かれていました。
世界中で僅かに2ヶ国、植民地とならなかった有色人種の国があり、それは日本とタイだけでした。
中国は、国ごと丸々植民地だったのではありませんが、国中のあちこちを複数の白人国から削り取られた状態でした。
タイの場合、なぜ植民地にならずに済んだのかというと、タイをはさんで隣接する2ヶ国が、それぞれ敵対する白人国、フランスとイギリスの植民地となっていて、タイがちょうどその緩衝地帯になっていたからです。
西洋人は、自国があるヨーロッパ内だけで戦争をして領地の奪い合いをするだけでは飽き足らず、奪った先の植民地でも領土の奪い合いでしのぎを削っていました。
「超」が付くほど好戦的な西洋人の戦争好きには呆れるものがあります。➡︎ ヨーロッパの戦争の歴史
地理的にヨーロッパから最も遠い極東のはじにある日本の場合は、大航海時代が始まり、スペイン人とポルトガル人が最初に世界を支配し始めた頃がちょうど戦国時代でした。
当時に日本に来た宣教師のひとり、アレッサンドロ・ヴァリニャーノが次の言葉を残しています。
「一般庶民や労働者でもその社会では驚嘆すべき礼節をもって上品に育てられ、あたかも宮廷の使用人のように見受けられる。
この点においては、東洋の諸民族のみならず、我々ヨーロッパ人よりも優れている。
中略 …国民は有能で、秀でた理解力を有し…
中略 …日本は何らかの征服事業を企てる対象としては不向きである。
中略 …国民は非常に勇敢で、しかも絶えず軍事訓練を積んでいるので、征服可能な国土ではない」
宣教師が見た戦国の日本は、西洋人が植民地にするのには強過ぎて不向きだったわけです。
さらには器用で真面目な国民性の日本人は、西洋から伝わった鉄砲をあっという間に量産するようになり、世界で最も多くの鉄砲を持つ国になりました。
西洋の先進国以外、有色人種の国で鉄砲の量産をしたのは日本だけでした。
鎖国を200年以上も続けられたことも、日本がいかに強くて西洋人を寄せ付けなかったかを物語っています。
いくら鎖国をしても、国が弱ければ簡単に無理やりこじ開けられて植民地にされてしまいます。