19世紀から20世紀にかけて、南米諸国には30万人以上の日本人が移民として渡りました。日本人の移民は主に沖縄や九州、広島など、西日本で農業に従事している人たちで、ジャングルを切り開いて畑を耕すという過酷な重労働を強いられました。
賃金も安かったそうですが、他の国の移民のように暴動を起こすこともなく、みな真面目に辛抱強く働き続けた。現地の人たちは、地道に働く日本人に好意を持っています。
日本人移民は当初、19世紀末にメキシコやペルーへ渡った。ペルーでは、サトウキビ農園の過酷な労働で多くの死者が出たため、首都リマで商業に転じるか、或いはアンデスを越え、ボリビアの奥アマゾンでゴム園労働者となったという。
20世紀初頭からは、ブラジルへの日本人移民が急増した。日本からの移民は、子どもに高等教育を受けさせ、医者、歯医者、弁護士、税理士など専門職に就いた人が多くいます。
メキシコやブラジル、ボリビアのラパスには、そういう日系人が沢山います。彼らはウソをつかないということで、現地の人は全幅の信頼を寄せています。日系人に仕事を任せれば、間違いないというわけですね。
そのためか、私が昔、メキシコを旅したとき、レストランで食事をしていると、『ハポネ?』と店の人から言われました。
ハポネはスペイン語で日本という意味です。日本人だと答えると、『食事代はいらない。日本には色々世話になったから』というんです。
南米では、日本人だとわかると、現地の人が気軽に話しかけてくることが多いですね」
谷本真由美
ローマの国連食糧農業機関(FAO)で
情報通信官として勤務した後、
現在ロンドンを拠点にITコンサルタントと著述業
ボリビアでは 米や大豆、小麦、柑橘類栽培などの発展を支えています。 また、それまで野菜を食べなかった地域で野菜栽培を 定着させ、現地の食生活改善に貢献したケースも少な くありません。
外務省資料「日本と南米をつなぐ日系人」