韓国の戦後世代はずっと反日教育を受けてきていますので、多かれ少なかれ「日本人はそもそもが野蛮な人たちだ」といったイメージを持っています。
中国人や中華文明圏の人々にも同じことが言えるでしょう。
ところが日本に来てみて、実際に日本人と付き合ってみますと、これが正反対のイメージヘと急速に変貌していくわけです。
日本人はなんて親切なのか、礼儀正しいのか、優しくて思いやりがあるではないか、野蛮な人なんてどこにもいないではないかと、誰もが感じることになるんですね。
また、日本の街並みの清潔さに感嘆し、治安の良さに感動します。
最近は日本も治安が悪くなったと言われますが、全般的な治安は依然としてよく保たれていて、日本が世界で最も安全な国であることは世界の統計が示しています。
こうして日本に来た韓国人は、大部分が当初抱いていたイメージと実際のギャップに驚きつつ、1年目は好感度を高めながら過ごしていきます。
しかし、1年目が過ぎて2年目、3年目に入って、一歩踏み込んだ付き合いをしようとした時に、多くの外国人が「日本人というのはどうもよくわからない」という印象を深めてゆきます。
日本人はとても優しくて親切だけど、一方ではよそよそしくて、どこか距離を置いて冷たく感じられるのです。
それは日本人と韓国人の距離感の違いからくるものです。
もっと踏み込んだ付き合いをしていこうとして必ずぶつかるのが、いわゆる「日本人の曖昧さ」というものです。
どうも考えがはっきりしない、好きなのか嫌いなのか、肯定しているのか否定しているのかよく分からないという曖昧さです。
韓国人の場合は、気が合うとすぐに仲良くなり、同性で肩や腕を組んだり、深刻な悩みを打ち明けたりしますが、日本人の場合は、どうもそういうことにより時間がかかるようです。
ところが、5年目くらいから言葉ではちょっと言い表せない奥行きというか、深さや幅広さが感じられるようになってきます。
そうなってくると、どうも日本社会こそ人間らしく生きている社会ではないかという感じがしてくるんですね。
韓国人には、口では反日感情をいう人が多いかもしれませんが、5年以上いる人はだいたいがかなりの日本好きになっていくのです。
私などはそこから俄然興味が湧いてきて、そもそも日本とは何かと文化へ分け入って行って、もはや這い上がれないほど深みにはまってしまっています。
現在の日本は、かって言われたような経済大国というよりも、美の大国であるという受け止め方をされていて、「日本風」を愛する静かな日本ブームが世界的な広がりを見せています。
特にパリ、ベルリン、ロンドン、モスクワ、ニューヨーク、バンコク、台北、香港、上海といった世界の主要都市で、日本風の人気は年々高まる一方です。
日本の健康的な食、イメージ豊かな娯楽文化、繊細かつ美麗な伝統文化、アイデアに満ちた日本製日用品、日本式もてなしの接客サービスなどは、既に目先の興味や物珍しさを超えて、日々の暮らしの中でより熱く、より深く世界の人々に愛され始めています。
シドモアが語ったように、日本文化は19世紀末から20世紀初頭にかけての欧米文化に多大かつ深刻な影響を与えた。
それから百年後の20世紀末から21世紀初頭にかけての現在、日本ブームはかってより一層大きな地球規模での革命を誘発しているのではないか?
私はそうした感触を強く持ちながら、現在進行中の「日本風に恋する」世界的なブームに注目している。
拓殖大学国際学部教授、呉善花
1983年来日、1988年日本に帰化
日本人の10人と知り合えば、嫌で嫌いな人の割合は1人です。
韓国人の場合は3人位。日本は悪口の言葉が少ないと思います。
韓国はすごく多いし激しい。気が短くて、喧嘩になると乱暴な言葉でやり合います。
以前、日本語学校にいた時、中国人と韓国人が覚えたての丁重な日本語で喧嘩したのを見た時は、迫力がなくて見ていておかしかったです。
Kang Sanghun
日本でハングル語の先生
私は日本のここがすき
加藤恭子著
出窓社