ブラジル人から見た日本と日本人

『コレイオ・パウリスターノ』紙、ソブラード記者
1908(明治41)年、日本人781人が初めてブラジルへ移住を始めた。同年6月25日、『コレイオ・パウリスターノ』紙のソブラード記者は、ブラジルにやってきた日本人の様子をまとめたレポートを新聞で紹介した。
 
記事の中で、ソブラード記者は、驚くべき清潔さと規律正しさや、物を盗まないこと等とともに、日本人の識字率の高さについて、「移民781名中、読み書きできる者532名あり、総数の6割8分を示し、249名は無学だと称するが、全く文字を解せぬというのではなく、多少の読書力を持っているので、結局真の文盲者は1割にも達していない」と報じた。
 

『蒼氓の92年 ブラジル移民の記録』内山勝男著、東京新聞出版局
 

 

 
1908年6月、ブラジルに初めて移住した日本人たちは、清潔で規律正しいことや従順な態度が高く評価され、「実に好ましき人種」「将来サンパウロ州の産業は日本人に負うところ大であろう」とブラジルの新聞『コレイオ・パウリスターノ』で絶賛された。
 
2008年は、日本人がブラジルへ移住して100周年目にあたる。日本とブラジルは、これを記念し「日本ブラジル交流年(日伯交流年)」として、様々な交流イベントを開催している。
 
1908(明治41)年4月、ブラジルへ最初の日本人移住者781人を乗せた「笠戸丸」が神戸を出港した。
 
ブラジル移住の背景には、日露戦争後の不況や農村人口増加の問題があり、ブラジル側も約20年前に奴隷制度を廃止したことで労働不足に悩んでいるという事情があった。
 
6月18日、笠戸丸はブラジルのサントス港に到着。上陸した日本人たちは、サンパウロの移民収容所へ向かった。
 
『コレイオ・パウリスターノ』紙のソブラード記者は、ブラジルにやってきた日本人の様子を記事に書き、6月25日の新聞に掲載された。
 
ソブラード記者は、日本人の清潔さに感嘆し、次のように記した。「移民は18日午後上陸し、同日サンパウロに到着したが、彼らを輸送した笠戸丸の船室およびその他諸般の設備を見ると、みなよく清潔を保っていた。
 
それだから、日本船の三等船室は、太平洋を往復する欧州航路の一等船室よりも清潔だと評する者さえ、サントスで見受けられた」「移民は移民収容所に入るにあたり、秩序整然として列車から降り、少しも混雑の模様なく、またその車中を検査したら、ツバを吐いてある跡は一つもなく、果物の残りクズなどの散乱したものも皆無。
 
観察者をして不快感を起こさせるようなことは、一つもなかった」「移民たちは食堂で交替して食事を終え、約1時間後に各自に定められた寝室を見るために食堂を出たが、驚くことには、彼らの去った後にはタバコの吸いがらもツバを吐いた跡もなかった。
 
もしも、これが他国の移民ならば、その居所はタバコの吸いがらやツバでもって不潔化することだっただろう」
 
さらに、日本人が規律正しく行動していることを、ソブラード記者はこう絶賛した。「税関吏の語るところによると、このような多数の移民が秩序よく、その手荷物の検査を受け、一人として隠す者がなかったことは、いまだかつて見なかったところである。
 
これら日本移民の清潔なことは既に述べた通りであるが、移民でこのように清潔で規律正しい者は未曾有のことである。さらに従順なことは羊群のごとく、やがてサンパウロ州の富源は、彼らによって遺憾なく開発され、将来サンパウロ州の産業は日本人に負うところ大であろう」
 
日本人の態度に好感を抱いたソブラード記者は、「彼らは熱心にわが国の言葉を学ぼうとしており、また食堂では一粒の飯粒、一滴の汁をも床の上に落としたものも認めることができないほど用意周到で、食堂の床は食後でも清潔を保ち、食前と少しも変わらない。
 
それに紙切れやマッチのカラが散乱していたとすれば、それは移民収容所の給仕人たちの所為であって、日本移民がしたのではない。実に彼らは好ましき人種だといえよう」と、絶賛した。
 
ブラジル・サンパウロ州では、日本人が笠戸丸で上陸した6月18日を「日系人移民の日」として、日本人のブラジルにおける貢献を讃えている。
 
また、日本でもこの日を「海外移住の日」と定め、日本から海外へ移住した人々の歴史や、国際社会への貢献を振り返り、移住先国との友好関係を促進するための記念日としている。
 

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