ピーター・ファーディナンド・ドラッカー
オーストリアのウィーン生まれで「マネージメントの父」と呼ばれ、世界中のビジネスマンに有名なピーター・ファーディナンド・ドラッカーは大の日本ファンです。
人生で最も大きな影響を受けた3人の内のひとりが渋沢栄一で、ロックフェラー、カーネギー、モルガンよりも優れていると言います。
若い頃にドイツで新聞記者を務めていたドラッカーは、ナチスの迫害から逃れるためにイギリスに渡りました。
銀行員を務めていましたが、仕事帰りのある日、たまたま雨宿りした場所で見た日本画に「恋をした」というほどのめり込み、後に約200点もの水墨画を蒐集しました。
日本にとても興味を持った彼は、明治維新のことを知って衝撃を受けたそうです。
多くの流血をもたらす欧州の革命に対して、最小の流血で済んだことに驚いたのです。
渋沢栄一の「論語と算盤」が、ドラッカーの生涯問い続けた経営姿勢の「社会的責任」に「ぴたり」と合致するだけではなくて、人材の育成に力を注ぐという点も同じでした。
「(渋沢栄一は)マネージメント教育に力を入れた。プロフェッショナルの必要性を世界で最初に理解したのが渋沢だった」『マネージメント』
違う時代に活躍した二人でしたが、命日が同じで11月11日という偶然の共通点もあります。
月刊誌「致知」2022年3月号、ドラッカー学会理事佐藤等
「人は日本の西洋化を論ずる。だがそれは、西洋の日本化だった。日本は理論、制度、手続きの一切を輸入した。しかし日本は、それらのものを自らが育んできたシステムと構造、すなわち江戸の社会と文人に組み込んだ。事実、日本の普通教育はヨーロッパに先行していた。明治維新の成功は、西洋の日本化という視点によってのみ理解が可能である」
「歴史の哲学」ダイヤモンド社
「全ての文明、あるいは国の中で、日本だけは、目よりも、心で接することによって理解できる国である」
「ドラッカー名言集」
「日本人はなぜ世界から尊敬され続けるのか」黄文雄、徳間書店
ドラッカーは、日本人がボランティアに熱心に取り組むことも評価していました。