オリンピックは、選手だけの競技ではありません。北京オリンピックでのスイミングスーツ騒動は記憶に新しいですね。
競技に用いる道具でも、世界でし烈な競争が繰り広げられています。
そんな中、オリンピック3大会連続、金、銀、銅を独占した日本の町工場があります。
砲丸の辻谷工業です。
「コスト削減なんて考えたことない」
「材料費が上がれば、値段を上げる」
「それが嫌なら、つくらない」
しびれます。
これぞオンリーワン直販。
作り始めた1968年当初、まったくよい製品ができませんでした。
あることをして、それを克服しました。
それは、今までのマニュアルを一切破棄する。
辻谷工業のある埼玉県川口市は、昔から鋳物の町として有名。
いちから鋳物工場で修行を積み直し、季節の違い、温度、湿度の違いを肌で感じ、勘に頼った製法を、3年かけて作り上げました。
鉄の鋳物である砲丸は、重心が命。
原料の鉄には、密度の異なるシリコン、カーボン、マンガン、リン、硫黄などが含まれており、その固まり方によって、均一にはならない。
NC旋盤(コンピュータ制御の鉄を削る機械)で削れば、完全な球の形になります。でも重心は球の中央には絶対にこないのです。
それを、辻谷は、
削る音
削った後の艶
旋盤のハンドルの圧力
聴覚、視覚、触覚を駆使して、手作業で削っていくことで、100%満足なものを作れるようになりました。
出典:産経Web
オリンピックでは、選手は、マイボールではなく、世界中から選抜された5、6か国のメーカーの砲丸を自由に選ぶことができます。
アトランタオリンピック決勝、8人の選手全員が、辻谷の砲丸を選びました。金、銀、銅独占は当然ですね。
これは職人の世界であって、私たちには関係がない。
そうかもしれません。
でも、マネのできるところがあります。
今までのマニュアルを一旦捨て、原理原則に従って、自分の感性を信じて、地道に解決策を探求する。
小さな企業やお店が、直販でオンリーワンのポジションを手に入れるには、他とは違う「なにか」が必要です。
世界一でなくてもよいのです。
狭いエリアの中でいいのです。
他と違う「なにか」を際立たせるために、自分の感性をまっさらな状態からもう一度、働かせてみましょう。