保温ポット
サーモス株式会社(旧日本酸素)のスタッフが以前電車に乗っていると、水筒を床に落ちしてしまい、泣いている子供がいました。
当時の魔法瓶の内部はガラス製でしたが、それを見て割れない魔法瓶を作れるとそのスタッフは思いました。
日本酸素の専門は、工業用ガスの輸送ですが、その技術を使えばできると考えたのでした。
サーモス(THERMOS)とはギリシャ語で熱を意味する言葉です。サーモスの歴史をさかのぼると100年前のドイツに行き着きます。
1880年代にドイツの物理学者ヴァインホルトが、多重の真空容器を発想したのが最初です。
イギリスの科学者ジェームス・デゥワーが、これをもとにガラス製の真空ボトルを考案します。
これが現在の魔法瓶の原型であり、「デゥワー瓶」と呼ばれています。
1904年にドイツのラインホルド・バーガー氏が、世界で初めてのガラス製魔法びんを製品化しブランド名を「サーモス」と名付け以来、この魔法びんは冒険家たちの数々のエピソードとともに世界中に普及し「THERMOS=魔法びん」と言われるほどになりました。
その後、世界初の商品を数々と生み出し1978年には軽くて割れない高真空ステンレス魔法びんを完成し、1988年には超軽量で強靭なチタン製魔法びんを開発し発売させました。
日本酸素が、世界で初めて高真空ステンレス製魔法びんを開発し、1989年にイギリス、アメリカ、カナダのサーモス各社が傘下に入り、日本酸素は世界最大の魔法びんメーカーに発展しTHERMOSブランドを全面的に使用するようになりました。
この画期的な製品は壊れやすかったガラス製の魔法瓶に代わって、飛躍的にその使用範囲を広げていったのです。
サーモス株式会社は、2001年に日本酸素株式会社(現大陽日酸株式会社)サーモス事業本部と株式会社日酸サーモが統合して発足しました。