アフリカで女性用の付け毛(ウィッグ)向けに合成繊維の売り上げが急速に伸びている。髪の毛のカールが強いアフリカ人女性の間で、手軽にスタイルを変えられるウィッグの人気が高まっているためだ。
中でも日本のカネカ製は、風合いの自然さが好評といい、シェアの約6割を握る。同社は、アフリカ市場のさらなる成長を見込んで製造ラインを増強、現地に営業拠点を開設した。
高い人気を誇るのはカネカのアクリル系合成繊維で、ウィッグのほか人工毛皮、防護服など幅広く使われる「カネカロン」。1983年からアフリカ向けに販売している。
カネカ社員が米ニューヨークを訪れた際、アフリカから女性用の人工ウィッグを買い付けに来る行商人がいることを知ったのがきっかけだ。
同製品を中心とするカネカの合成繊維事業は2016年3月期の売上高が452億円と、過去5年間で7割近く伸びた。
アフリカのウィッグ向けは当初伸び悩んだが「この10年間で10倍になった」(天知秀介取締役常務執行役員)という。
市場拡大の背景にあるのは、アフリカの豊富な天然資源だ。00年以降、アジアなど新興国での石油や鉱石需要の増加が、アフリカ各国に急成長をもたらした。
こうした中、カネカは昨年4月、ガーナに駐在事務所を開設して販売態勢を整え、夏にはマレーシアの工場で新しい生産設備を稼働させた。
現在アフリカ18カ国で、ウィッグやかつらを製造する計約30工場に納入する。
カネカは一層の市場拡大を狙って、15年からナイジェリアで現地企業と協力し「ミス・カネカロン」コンテストを開催。昨年11月にはガーナでも予選を行い、応募数は1回目の前回を1千人上回る計約2800人となった。
カネカロンのウィッグは美容師が髪に編み込む料金を含め約30米ドル(約3500円)。ナイジェリア都市部で働く工員の月給の約1割に相当するものの販売は伸びている。
韓国や中国の企業もアフリカに進出するが、カネカの存在感は圧倒的だ。天知取締役は「高いシェアを維持していくことが重要。女性の『美しくなりたい』という思いに応えたい」と話した。
The Sankei News
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