「音楽を、一人ひとりが持ち歩く」というコンセプトで世界を席巻したウォークマン。
カセットテープタイプの初代ウォークマンの開発を言い出したのは、創業者であり当時会長の盛田昭夫であった。
開発のきっかけは、当時名誉会長であった井深大が、旅客機内できれいな音で音楽が聴けるモノを(自分が1人で使うために)作って欲しいと、当時オーディオ事業部長であった大曾根幸三に依頼するところから始まる。
大曾根は周りにあったプレスマンを改造し、それにあり合わせのヘッドホンを付けたプロトタイプを井深に渡した。
その性能に驚いた井深が、直ぐに盛田に聴かせ、その可能性に気がついた盛田は、商品化を命じることになる。
当時社内からは、録音機能の無いテープレコーダーは絶対に売れないと反発されたが、それを押し切り開発を続行、思いのほか音質が良いと感じた[誰?]という。
実際の開発は黒木靖夫のデザインコーディネートのもと大曾根部隊のエンジニアによって行われた。のちに黒木靖夫はウォークマン開発の功績によりソニー取締役になった。
発売当初のマスコミの反応は芳しくなく、人目に触れなければとの考えから宣伝部や営業スタッフはウォークマンを身につけ山手線を1日中ぐるぐる回るという作戦にでる。
日曜日には若いスタッフにも製品を身につけさせ、街中を歩かせた。さらに影響力のある有名人にも製品を提供するなどして認知を高めていった。
こうした工夫された広告・宣伝活動により発売1ヶ月で3000台ほどの売上から、翌月には初回生産3万台を全て売上げ、供給不足が半年間続くほどの人気となった[2]。
商標とロゴ 編集
日本では最初からウォークマンの商品名で発売されたが、文法に合わない和製英語であるウォークマン(Walkman)を避けて、海外では当初他の商品名で発売された。
アメリカではウォーク・アバウツ=歩き回る、ラン・アバウツ=走り回るからの造語で「サウンド・アバウツ Sound about」、イギリスでは密航者を意味する「ストウアウェイ Stow away」、スウェーデンでは「フリースタイル Free Style」の商品名で発売された。
しかし、来日した音楽家らによって日本からウォークマンが土産として“輸出”され、彼らの口コミにより日本国外でも「ウォークマン」の知名度が高まったことから、1年も経たずにウォークマンに統一された。
黒木靖夫によると、この判断には、当時の会長盛田昭夫の独断的な決定があった[3]。
2002年、オーストリア最高裁判所は「ウォークマン」がポータブルオーディオプレイヤーの一般名称と化しており、ソニーは商標権を失っているとする判決を下した。現在でもオーストリアにおいて、ソニーは「ウォークマン」の商標を独占使用出来ない[4]。
初代ロゴは広告宣伝用と製品貼り付け用の2種類があり、前者は「A」の文字から足が生えていた。
1980年代のテレビCMでは、「A」の文字から生えた足が歩き出すというグラフィックで「WALKMAN」ロゴを表示していた。
1990年代に入ると広告宣伝用ロゴは使われなくなったが、製品貼り付け用のロゴは2000年4月まで使用された。
現在の「WALKMAN」ロゴは2代目である。2000年5月より使用され、「W.WALKMAN」と呼ばれている。なお、ビデオウォークマンにはこれらのロゴは使用されなかった。
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